口径　１１３ミリ（注ぎ口含む）
　全高　　９４ミリ
　底部　　５３ミリ　　

　その様に官能の美を見るに、
　誰憚ることがあろうものか。
　小体に纏まる立居姿には、
　凝視するものの目筋を捉えて放さない、
　極めて細心が潜み居る。
　矜持であり品格であり気風である調え。
　我が身我が心の去来を込めて
　注ぎ入れる一献の、
　終焉なき孤高をこそ知る者に、
　寄り添う温石の如く情意を醸す。
　乾坤一擲をさらりと熟す懐の深奥に、
　清々寂々にして宏大なる無辺、
　悠揚の美味極まる酒を堪能するに
　まさに相応しきはこの艶姿。

　口径　　３６ミリ
　全高　１１３ミリ
　胴部　　８６ミリ
　底部　　５５ミリ

　名残りの美と云うが如く、
　惜しむべき心持ちを対となす流麗。
　眺めるに躍動する釉の美は、
　健やかに嫋やかに器の景色を綾なすのだ。
　酒を酌み交わすに純然たる居姿を、
　其れを永遠に刻むが如くの、
　得難きはその柔和と不動。
　何時の日にか絶妙なる貫入にさえも、
　酒膳の深み相まって、
　唯一たる徳利と為り得るのである。
　透徹なる流水の一献、得心の酒が香がゆ。
　今宵、見通すは酒の芯と器の心。
　迸る玲瓏を抱くに相応しい気品に、
　掌に伝わる大らかな優柔に感嘆すべし。

　口径　１４３ミリ
　全高　　７６ミリ（弦部含む：１５０ミリ）
　底部　　６８ミリ

　儀式たる気品の一献もまた好し。
　その風雅を解し恰も茶事の如くに振舞う
　一献もまた好し。
　況や野点の如く風流に遊ぶ一献、
　この好しなるを興とするに心髄の欣喜を
　覚えるに吝かであろうはずはない。
　銀なるが寂びゆくも土なるが侘びゆくも、
　それは虚ろに在らず、
　寧ろ生々と色形を具えていくのである。
　時の流れを知己とするに値う傑物、
　大胆不敵と細心熟慮の賜物、
　磨き込まれた酒の畝りを受け留め、
　慈愛の様に似て我らに注ぐは
　器たる万感に尽きせぬ。

　口径　６６ミリ
　全高　５５ミリ
　高台　４１ミリ

　深き顔（かんばせ）にて佇むは、
　妙なる艶の楚々とした居姿である。
　在るは、端麗、明朗、優美、直心。
　美酒嗜むにその手指に納まるは、
　麗しき淑やかさと、温柔なる色香。
　器が器たることに在るべく、
　錦心繍口の矜持を全うする気品は、
　静思の内に然りなりと介立する。
　旨酒の甘露を味得するに於いて、
　如何ほどの差障り、在ろう故もない。
　陶然と云うべきはこの瞬く間に駆け、
　飲酒（おんじゅ）の愉楽も際殊となり、
　賦詠の悦びと心同じうするものである。