口径　８１ミリ
　全高　８６ミリ
　底部　３４ミリ

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　ふくよかな姿に、しっとりと馴染む手触り。
　この片口、呑み手の持ち心地は
　独酌も勿論良いが、
　何よりも知己に注ぐが相応しい。
　粉引とはいえ微妙に流れかかる釉の、
　仄かでありながら冴々とした青の美。
　それでいてどこか温かみを感じさせる風情。
　ほど好く冷えた酒を包むとき、
　器に染み入る景色を愉しみにしつつ、
　長く共にありたいと願う。
　キレよく香り高い酒で今宵を過ごすべし。

　口径　９２ミリ
　全高　７４ミリ
　底部　３７ミリ

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　焼締めの肌触りに朴訥なる情愛をみる。
　華美に過ぎないその風情は、
　呑み手の内なる心持ちに、
　安堵の一閃を投げ掛けるのだ。
　然りながら洗練の奥妙に欠けることなく、
　物静かに佇んでいるのである。
　何時ぞや、その温かみに触れたのであろう。
　思い浮かべるに、常に傍らにある相方と、
　その愛着を表すに戸惑うことなし。
　程好く冷えた流麗なる酒を注ぎ、
　器肌に濡れる雫の煌きに翻弄されよう。
　手指に纏う器の艶麗、
　薄暮に流れる落日の旋律に似て。

　口径　７４ミリ
　全高　４１ミリ
　高台　３８ミリ

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　ゆるゆると呑む夜を想うべし。
　夜半の沈黙が我を覚醒させるが如く、
　同化する色あいの狭間に遊ぶのである。
　焼き締められた器の堅牢は、
　気儘に振舞うことに動じることもなし。
　才気煥発、朗々と酌み交わすに、
　斯様に相応しい器も亦なしと云う。
　温め酒の優形に漂うがよい。
　思い巡らす森羅に万象に、
　また新味を観ることであろう。
　微酔の境地平穏に保ちつつ、
　果て無き空に広がるにも勝る快さ、
　此処に成就する一献としての必然なり。

　口径　７３ミリ
　全高　４３ミリ
　高台　３７ミリ

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　ふと追想の一幕がある。
　酒という伴侶を傍らにして、
　幾つの月夜が流れていったのであろう。
　疾駆する怒濤の様を思わせながら、
　凛とした冷静を留める夜がある。　
　波打たぬ湖面の静穏を潜めていながら、
　柔肌熱き興懐溢れる夜もある。
　想い馳せる矜持とは、
　其処に美酒の誉れありてこそか。
　涼やかに香る醸し酒の一献、
　注ぐ毎に時間（とき）の移ろい垣間見て、
　芳醇なる旨み透察するに至る。
　嘗てなき逢瀬の重なるを待ちつつ。